2014年6月14日土曜日

青いイルカと泳いだ日・クイーンズサーフ

「SWIM」という脚本の舞台に設定したのがクイーンズサーフ。

ワイキキのダイヤモンドヘッド側、カピオラニ公園の脇に横たわるビーチの正式な範囲は、カパフル防波堤から戦争記念水泳場の壁までとかなり長いビーチです。

クイーンズサーフには全体を二つに別ける防波堤があり、カパフル側はファミリーや観光客が多く、中間にあるコンセッションスタンド前の小さなビーチと、ワイキキ水族館までの周辺の芝生はゲイビーチとして賑わっていました。

ちなみにオアフ島にはクイーンズという名のつくビーチは二つあります。

一つはワイキキのクイーンサーフ、もう一つはハワイカイの先、カイヴィのクイーンズビーチです。



小説の舞台になっているのは2000年頃のワイキキで、当時は今よりも本土からのゲイの観光客が多く、 あの頃のクイーンズサーフは普通の日でも結構な込み具合でした。

週末になるとビーチタオルを広げて横になるスペースを探すことも難しかったのです。

ちょうどハワイ州がゲイの結婚を認める投票を行うことで注目を浴びていたのでハワイブームでした。

この時の同性婚を巡っての市民による投票は結果的に負けてしまったのですが、 ハワイは2013年の年末に同性婚を認めたので、他の州からハワイへ引っ越ししてくるゲイのカップルが増えています。



ビーチはすぐそこという環境だったのですが、時たまビーチに行って日光浴をすることはあっても本格的に泳ぎ込むことはなく、 日焼けの途中に海に入って熱を冷まし、泳ぐわけでもなく波に揺られるのに飽きたら陸に上がって再び日光浴するという感じでした。

小学生の頃に水泳を始め、プールに通って育った人なので泳ぐことに抵抗はありません。

しかし海となると話しは別です。海は同じ水でも生き物のようなものに感じてしまうのです。

プールに波は無く、泳ぎのリズムも一定に保ちやすいのですが、海となると波の具合によって泳ぎ方を変える必要があり、プールのように泳ぐわけにはいきません。

しかも潮の満ち引きで水位が上がったり下がったり、波の勢いも変わるのでいつも同じコンディションではありません。

そんな条件も加わって海で長い時間泳ぐという気持ちはあまり起きなかったのです。



それにハワイに住んでいるからといって毎週末にビーチに出かけるという習慣が簡単に育つわけではありません。

ハワイに住んでいてもビーチに行かない人たちは大勢います。

海に入るのが好きな人たちはサーフィンや何かしらのマリンスポーツに傾倒している人たちです。



観光でワイキキに来ている旅行者たちはビーチ際で日光浴をして、時どき海に浸かってというのがお目当てです。

しかし住民にとっては海に入るのは手間が掛かるし、普通に生活しているとビーチでまったりする時間を作るのも一苦労。時間の多い子供たちはビーチが大好きですが、大人になって仕事中心の生活になり、家族や子育てなどが加わるとビーチは生活の外に追い出されてしまうのです。

友人の中には長年ハワイに住んでいるけれど、ビーチでBBQを楽しんだり、水際近くまでいくことはあっても、海の中にズッポリ入って泳ぐなんて考えない人が殆どなのです。

それにビーチに来たからという理由で沖まで長時間にわたって泳ぎに出る人は稀だと思います。

誰だって一人でビーチに出かけて、財布やら鍵やらの入ったバッグを置いて長時間に渡って泳ぎに出かけるなど考えられないでしょう。

ワイキキに滞在する旅行者はリラックスして気の張りも緩むわけですが、それを狙ったスリや置き引きの被害に遭う人も多々いるのが真実です。

プールにはコインロカーがありますが、クイーンズサーフに荷物を預かってくれる場所はありません。

家族や友達と一緒だったり、知り合いが沢山いれば荷物を見ててくれと頼めますが、当時はビーチ通いが頻繁だったわけでも、知り合いが沢山いたわけでもなく、荷物から離れることに抵抗がありました。



ビーチに頻繁に出向くようになって少しずつ顔見知りが増え、挨拶を交わす感じの知り合いも現れ、アメリカ人のゲイの友人たちと知り合い始めました。

少し長めに泳いでいたらビーチで一緒に泳がないかと誘われたのです。泳ぐことには抵抗は全く無かったし、少しはエクササイズをした方が良いと思っていたので、「はい、そうしましょう」と何も考えずに一緒に泳ぐことを了承してしまいました。

そんな感じの軽いノリで再び泳ぎ始めたわけですが、最初の頃は結構大変でした。

特別にエクササイズもしてなかったので筋肉が落ちてしまって弱く、体力も以外に低くなっていたからです。

泳ぎのフォームは身に付いているものですから再び泳ぎ始めた時も問題はありませんでした。

しかし筋力がないので波の中で自然なバランスをとるのが難しく、以前のようにスムーズに泳ぎにくい。

しかし身体というのは不思議な生き物で、3〜4年は泳いでなかったのに、泳ぎ始めると身体が泳ぎ方を思い出すかのように日に日に昔のようにスムーズに泳げるようになり始めるのです。

いざ真面目に泳ぎ始めると習慣になり、しばらくの間は週に3〜4回も泳いでいました。

美しい青い海が広がるワイキキの側で生活していたにも関わらず、出不精で遮光する気にも泳ぐ気にもならなかったわけです。



しかし、ビーチに出かけ、ワイキキの海の中へ泳ぎでるようになって「もっと早くに泳ぎに出ればよかった」と後悔しました。

ビーチ派でない方は海の中に入るのは面倒に感じるかも知れませんが、本当にもったいないので滞在中に一回は少し泳いでみるのを勧めます。


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