小説「ブルー・ドルフィン」を含めて今まで5冊の著作を出版させていただきました。
そして今回の「青いイルカと泳いだ日」は、これまでの本とはさらに違った趣向と構成で、この本の主体は小説の舞台裏的なエッセイと3Dイラストレーションです。
本職の広告デザインにしても、もともとグラフィック関係のデザイナーになりたかったわけではなく、デザイン業界に入った切っ掛けはイラストレーターになりたかったからでした。
しかもスーパーリアルと呼ばれるエアーブラシを使った現実に近く描くイラストレーションの世界です。
19歳でデザイン事務所にカンプライター兼イラストレーターとして雇用されたのですが、絵が描けるのだからデザインレイアウトにも挑戦してみなさいと進路を変更され・・・。
レイアウトやデザインだけでなく、イラストや絵コンテ、アートディレクション、必要であれば写真撮影も手掛けるマルチなグラフィックデザイナーの道へ進むことになってしまいました。
広告デザイナー時代にはテレビコマーシャル用の絵コンテを描く仕事も多々こなし、 ディレクターから送られてくる単純な舞台設定、短い台詞、画面に入るテロップなどの箇条書きを一枚のボードに漫画のようにコマ割りして一枚の漫画のページ的に仕上げたものです。
このピクチャーBOOKには小説の背景に沿って、3Dで制作した登場人物のイメージと、幾つかの場面を盛り込んであります。
私の脳はイメージ優先型で、スーパーリアルで具体的な表現に固執してしまいがちなので、頭の中にある風景やシーンを文章で表現するのに苦戦しました。
小説ですから、背景やら眼に映るものを、こと細かく文字で描写することに固執する必要はなかったと思いますが、私なりに映像的な視点で書きたかったのです。
その努力の結果は小説をお読みになった方はわかると思いますが、それが成功したのか、そうでないかは読者の判断に委ねるしかありません。
「ブルー・ドルフィン」は小説というスタイルですが、始めから映像的な場面を意識して生まれた作品です。
小説を完全に終わらせたら、後書きエッセイを膨らまして、エクストラフューチャーとして長年に渡って撮りだめしてある写真をふんだんに載せたコンパニオンBOOKとしてヴィジュアル本を作ろうと思っていました。
しかし写真を中心にして仮レイアウトを始めたら壁にぶつかったのです。
小説に関係する建物や風景は完全な空想ではなく、主にワイキキ周辺の設定ですから実物の建物や風景などの写真撮影は可能で、撮りだめした写真も沢山ありました。
でも登場人物はどうしよう?
彼らは実際の人物ではなく創作ですから実体がありません。
そこで考えついたのがキャラクターを3Dでデザインすることです。
しかし、その反面でキャラクターのイメージを明確に提示してよいものか考えてしまいました。
出版に前に反応を知るために小説を読んでもらった友人達が、それぞれ登場人物をいったいどんな姿でイメージしているのか興味があったので聞いたら、それぞれ独自の顔で登場人物を捉えていたからです。
興味深かったのは、読み手によってイメージの作られ方が違い、私の視点からかなり掛け離れた姿で各登場人物をイメージしていた友人もいれば、小説内で描かれた人物像をまるまま受け取っている友人もいました。
小説を読みながら自分の頭の中で独自の小説世界をイメージ化するわけです。
それが読み手のイメージ力や想像力の違いによって大きく違うのです。
そんなことに気づきはじめ、読み進めながら自分なりのイメージで小説世界を作りっていくという創造性を奪って良いものか?
私の中にある具体的なイメージで読者が作り出した独自のイメージ世界を侵略してよいのか?
しばらく考えたのですが、小説中に3Dで制作したイメージを挿入するわけでもなく、あくまでも別本なので思い切って登場人物を作ってみることにしたのです。
小説のジャンルの中にボーイズラブという少女漫画から派生した同性愛系の世界があります。
こちらのノベルはコミックと連動するケースが普通で、漫画家によるイラストの表紙と挿絵がつきものです。
しかし 一般小説の表紙にイラストが使われることはあっても、中身にイラストの挿絵が入ることは稀です。
小説ブルードルフィンの基盤はGLBTなので、ボーイズラブ的だと呼べなくもありませんが、全く同じでもありません。
このコンパニオンBOOKの構想を考えていた時に、長年友人の漫画家さんに頼もうかと思いました。
小説を土台にした完全な漫画化なら面白そうだと思いましたが、イラストとなると話しは別です。
漫画的なイラストだとさらにボーイズラブに近づいてしまうのでNGだと思いました。
そこで自分でスケッチ風にデッサンする、またはイラストを書き起こすことも考えましたが、30枚以上の完成度の高いスケッチなりイラストレーションを描きこなす時間も自信もありませんでした。
そこに登場したのが私にとって新しい分野とも言える〝3Dソフト〟です。
当初は自分の中にあるイメージを3Dで作り出せるかどうか不安な部分もありましたが、キャラクター・デザインに挑戦したみたい気持は強く、とにかくやってみようと本気で取りかかってみたのです。
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